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東京新聞・本音のコラムより

私の大好きなルポライターの鎌田慧さんの文章を転載させていただきます。元旦に、大きなスペースで『さようなら原発10万人集会』の写真とともに載っていました。その集会の第二会場で私は司会をさせていただきました。転載は後半部分のみです。
【『原発で手足ちぎられ酪農家」と牛舎の黒板に書きつけて自殺した農民の悲劇を、私たちは忘れている。たくさんの牛や豚や小動物が死んだ。津波で押し流された家族を捜すのを阻んだのは、放射能の壁だった。原発は多くの人たちを絶望させた。
新政権が原発再稼働を強行したがっている。経営的理由からだ。しかし事故後の収束作業ですでに数人の労働者が心筋梗塞などで死亡した。原発は人間の働くところではない。非人間的な労働感興に無理やり労働者を送り込むのは非人道的行為である。被爆労働者の犠牲によって維持される「快適な生活」をこのまま続けたくない。
原発労働者の家族が夫や子供の死を「被爆死」として訴えても、この国の裁判官は認めなかった。原発四〇年の歴史で、、労災認定者はたった一三人だけである。この地震列島に原発を持ち込み、五十四基も建設させたのは私たちの無知だった。核廃棄物は、10万年後の子孫まで恐怖させる。原発は瞬間的な快楽だった。道徳的な頽廃だった、と気づいた今、犠牲を子孫にまで先送りするのはやめよう。脱原発は歴史的真実である。】