月別アーカイブ: 2014年8月

夏はおなじみ・住吉踊り

8月中席[11日から20日まで]は浅草演芸ホール恒例の「住吉踊り」があります。古今亭志ん朝師匠が8代目雷門助六師匠を踊りの師として始めたもので、毎年開催しています。私は師匠円菊の勧めで前座の時に入れていただき、途中ブランクもありましたが末席に置いてもらっています。落語協会と芸術協会所属の噺家の、寄席では唯一のジョイント興業です。
志ん朝師匠亡きあとは三遊亭金馬師匠が座長を務めていましたが、高齢であるため、現在では金原亭駒三師匠が個性多き芸人たちをまとめて下さっています。 私は11日から15日までは12時45分の落語の出番と3時半からの踊り子として、16・17は踊り子のみで参加します。
かっぽれ、奴さん、深川などおなじみのものから珍しい踊りまで、私の踊りはともかくとして、噺家、漫才師、手品師、太神楽まで、さまざまな寄席芸人がそろいの浴衣で、粋に踊ります。10時半開演16時半終了、10日間のうちいつでも使える前売り券が若干お安くお渡しできますのでどうぞ、菊千代まで、ご予約下さいませ。

言わなきゃ気が済まない話

私の大好きな餃子の天龍、池袋東武店で夕飯を食べていると、後ろの席に80歳近い感じの男性が二人、生ビールでかなりメーターが上がっていました。大きな声なのでつい内容を聞いていると「徴兵制を復活すべきだ」「だいいち原爆落とされたらどうするんだ」「中国が(中華屋さんなのに)攻めてきたら…北朝鮮もあぶないよ…」「このあいだ靖国にいた若者は良かったよなあ、ああいうのがなかなかいないんだ、今の若いのは女の子とちゃらちゃらして、国を守ろうなんて気が無いんだ」などと、熱く語っておられました。私は餃子を食べながら、今の若者たちにこの国のなにを守らせたいのか、まず今の若いのが女の子と仲良くならなければ子供は生まれないんだぞお。なによりもあんたたちの孫が徴兵されても良いのか、それとも自分たちが行くつもりなのか?と心で叫んでいるうちに味もわからなくなっていました。
いつぞやは、やはり年配の男性二人が「原発なんて、ラジウム温泉に入ると思えばいいんだ、大丈夫だよ」と喫茶店で談笑…いるんですよ、実際こういう人が。
オリンピックやカジノで景気が回復して庶民の暮らしが良くなるなんていうのを本気で思っている人たち、東北の復興がだいぶ進んでいるなんて、行っても見てもいないのに言っている人たち、アメリカに守ってもらうんだから日本の若者も血を流せなんて言われてなんとも感じない人たち、日本が戦争中に犯した数々の罪をあんなのは作り話だなんて平気でいう人たち、私はそういう人たちの気がしれません。無関心も困りますが、無責任も困ります。子供たち、若い人たちに対して恥ずかしくない人生の先輩になりたいものです。

先日朝日新聞に掲載された中学生の文章がネットで流れてきたのでご紹介します。
僕は戦場で人を殺せません
中学生(名前は省略・東京都 15)
日本が憲法の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認し、戦争ができる国になる可能性が日々増しています。おそらく戦場へ向かわされるであろう世代のひとりとして、気持ちを述べさせていただきます。
僕の友人の中にも、集団的自衛権の行使が必要だと考える人はいます。しかし僕は反対です。徴兵され、戦場に送られ、人を殺したくないからです。
人を殺すことは、通常の世界では最も重い罪です。しかし戦場では、その一番重い罪である人殺しを命令されるのです。命令に従うのがよいことで、命令に背けば罰せられます。この矛盾が僕には理解できず、受け入れられません。
それに、人は何のために生まれてくるのでしょうか。戦いで人を殺したり、殺されたりするためではないはずです。全ての人間に与えられる人生は、たった一度です。人を殺した罪を引きずって生きたり、自分が望まない時に命が無理やり終わったりすることは、あまりにも残念で、悲しいことです。 集団的自衛権の行使は、海外で人を殺すことを伴います。僕には、それは絶対できません。集団的自衛権行使の意味を、国全体で考え直す必要があると強く思います。
●安倍さんは読んでないでしょうね

我が家のぽん太

このところインコの話題ばかりで申し訳ないのですが、我が家の古株女王様オカメインコのぽん太が、体調を崩しました。昔は鳥も犬猫用の動物病院に連れて行くしかなかったのですが、今では小鳥や小動物専門の病院が何軒もでき、飼い主たちも安心です。何かあった時にはと目星をつけていた病院が世田谷にあるので、早速電話をして予約を取りました。
受付で先にぽん太を預け、30分ほどすると診察室?に呼ばれました。「ただいまレントゲンと血液検査をしましたが」、見ると見事なぽん太のレントゲン写真、結局女の子なので卵管に卵のかけらのようなカルシウムが詰まっていて内臓を圧迫しているのだそうで、人間と同じようなチェックシートを見せてもらい「血液検査では糖尿の気もありませんし…」。人間と全く同じ説明を受けました。
bird
結局は食欲が無いので、強制的にご飯を食べさせて、注射での薬の投与で…「もし、それでうまくいかなければ手術ということになりますが、歳ですからねえ、様子を見てみましょう。これで当人が元気になってくれればいいん ですが」。インコは、飼い主の前ではご飯を食べるふりや元気な顔をするので、しばらくは入院、面会も駄目。「いつも、必ず肩に乗っけたりしてるんですけど」と聞くと「あなたが、 お腹に嫌なものが出来てしんどいのに外へ出るのはいやでしょう?それと同じですよ」。
言われてみればごもっともです。毎日様子を聞く電話をしていいというので、決まった時間に電話をしました。「ぽん太ちゃんの様子ですねえ、今朝の体重は〇〇グラム…ちょっと息が荒いですねえ」とても丁寧に対応してくれるのに感動しました。薬でだいぶ楽になったのか体重は増えたものの、やはりお腹も膨らんできて、結局このまま見守るか、手術か?の選択をすることになりました。小さな体に麻酔を打つだけでショック死してしまう場合もある、術後の回復が年齢的に難しい場合もあるなど、いろいろ脅かされましたが、でも先生は最終的には手術を勧めている気がしました。
私のせいで早死にさせてしまったインコたちに対してのように後悔したくなかったので、私は手術を選びました。結果は大成功、九四グラムまでになった体が手術で腫れた部分をとって82グラムに、それから一週間は面会できず、様子を聞くばかりでしたが、日に日に体重を取り戻し退院できることになりました。先生からの説明では、出血が多かったので輸血をしたとのこと???いったい誰の血なのかわかりませんが、本当に医学はすごい!これでまた長生きできますよと先生に励ましてもらいました。
まだ通院も残っていますがひとまずは安心です。輸血の血が良かったのか、なんだか逆に若々しくなったぽん太。病院に電話した時、看護師の方が「ああ、ぽん太ちゃんの様子ですねえ。だいぶ顔色が良くなってきましたよ」と言ってくれていたのがわかる気がする今日この頃です。

足助の子供たち

私の大好きな豊田市足助、たんころりん祭りに毎年伺っては軒づけライブ、そして「足助のかじやさん」というライブハウスでは独演会をさせてもらっています。前々から子供たちに落語をと声をかけていただいていたのが実現し、足助中学の生徒さんたち約二百名の前で落語の歴史や動作の説明から私自身どうして噺家になったかなどの話と落語二席、質疑応答も含めて二時間弱の公演をさせてもらいました。
質疑応答に30分も時間をとってあったので、そんなに質問来ないんじゃないですか?というと「いやいや、きっと大変ですよ」足助中学のОBとして企画してくださった奥村さんが笑っていましたが。その通りで、前半の私の講演を踏まえての突っ込んだ質問には驚きました。自分たちの将来を考えての質問から「失礼ですが年齢はいくつですか?」まで。半分以上の子供たちが『はいはい!』と手を上げる姿に感動しました。日本はまだまだ大丈夫、それより大人はしっかりせにゃ、こんな子たちの芽をつぶすこと無いようにしなきゃ!と思いました。
生徒会長さんのお礼の言葉、かっこいいハスキーボイスの女子ですが『私も地域のクラブでソフトボールをやっていますが、やはり菊千代さんと同じ男社会なので、お話を聞いていて共感しました』と言ってくれたのには、一晩語り合ってみたく思いました。最近の少子化問題で特に地方は、学校の統合で何時間もかけて小学校、中学校に通い、送り迎え等でもご両親の負担の多いことや、学校での部活などにも制限が出ている問題など、お話も伺いました。
足助はお祭りが盛んで、お囃子練習などで近所の子供たちが月に何べんも集まって先輩から教わったりしているので、地域での上下関係やつながりが深いのです。町全体が子供を育てているような感じがします。足助とのご縁、大事にしていきます。自称、足助観光大使菊千代です。